[写真1]

RS本21ページ
(1963年5月撮影)
ブライアン15歳7か月。完成まであと1年5か月。
この時点ではまだ写真2のロアオークは見えない。
ヘッド先端がまっすぐに切られているが、サイドのラインを延長した交点に何らかの根拠がありそう。

[写真2]

RS本25ページ (1963年8月撮影)
ブライアン15歳10か月。完成まであと1年2か月。
ロアラミンボードを大きく切り取り、ロアオークを嵌め込んでいる。
アッパーラミンボードとロアオークには潜水艦パーツの堀込がされている。
ネック固定用のボルトが置かれているが、まだロアオークにボルト貫通用の穴はあけられていない。
フィンガーボードの10フレットの位置が、前後のフレットとの間隔と比較すると11フレットに寄っているように見える。

ブライアンが計算したRS本34ページの10フレットの値の誤差が大きいことからも「フレット位置を間違えて打ち直した」と言っているのは10フレットではないかと想定する。
0フレットがないことから、おそらくこのボードは使っていないと思われる。

[写真3]

RS本63ページより (1963年10月撮影)写真２から2か月後。
ブライアン15歳10か月。　(完成まであと1年）
この2か月間でトレモロユニットの設計変更を行っている。
2つのスプリングの間にある凸状の部分に付いている線状の傷がオリジナルのレッド・スペシャルにも確認できることから、このロアオークとアッパーオークはナイフエッヂごとそのままレッド・スペシャルに移植されたものと思われる。
ジミヘンにあこがれて6弦側にアームを付けたと思われるこの2番目のデザインは、この後に1弦側にも同じパーツが取り付けられることになるがロアオークにその堀込がされていない。
このことからも、少なくともこの時点ではこの形を本気で最終形として考えていたのではないか。

[写真4]

RS本64ページより (1963年10月撮影)
また、同頁上の写真ではネックに見立てた板材がボルトによりロアオークに取り付けされており、この時点で既に、ロアオークにはボルト用の穴があけられていることから、ネック固定用の穴あけの順番は、1.ロアオーク、2.ネックの順となり、その後、双方にワッシャー埋込のための円形が彫られたと推定する。
この写真の撮影日が10月なので、ブライアンは遅くとも1963年9月（製作開始から1年）には潜水艦パーツによる「低摩擦トレモロ」（RS本25ページ）の設計を断念し、その位置に新たなトレモロユニットを設計したと考えられる。

潜水艦トレモロ計画のために写真２で見られる多くのパーツをそろえたものの、なにかが成り立たずに設計変更を行っているが、潜水艦パーツを取り付けたブライアンの設計は非常に興味深い。
驚くのは、潜水艦計画の断念から、新たな設計であるナイフエッヂを用いたシステムの考案、作図、製作、組立と取り付け（この時期にブライアンが、“家族が誤って倒してしまい壊れてしまった”と言っている。）までを2か月で行っていることである。
不思議なのは、おそらくここに写っているロアオークは写真2と同じもの。だとすると何故完成しているネックを使わなかったのか。 また奥の方で良く見えないが、ペグへの弦の巻き付けが反対巻きに見える。これも何かに関連づくかと思われ、今後の解明に期待したい。

[写真5]

RS本48ページより (1964年9月撮影)
ブライアン16歳9か月。　(完成まであと2か月）
写真4から11か月後の画像。
RS本の解説にもあるように、バインド材はトップからはみ出た状態であるが、良く見るとサイドからもはみ出ているように見える。
以下に掲載している写真６、写真７、写真８の完成形のレッド・スペシャルのバインド材は、まだ削られていないように見える。

[写真6]　1964年10月完成

[写真7]

[写真8]

[写真9]

[写真10]

[写真11]

1964年に結成したバンド「1984」。
この写真でのピックアップは、既にTri-sonickに変更されていることから、Eclipsマグネットを使ったピックアップは「1984」のバンド結成後、短時間で取り替えられたと思われる。